♪稲妻が闇を裂いてー俺を呼んでるー♪全国一千万のプロレス者のみなさん、こんばんは、ラッシャー木村です。此れまで、あたくしはプロレスに関することを敢えて「なるべく書かない」よーにしておりました。語り出すと収集がつかなくなってしまうことが解っていたからです。其れに、現在は以前よりもプロレスについて詳しいわけでもないし、所謂「昔話」になってしまうなぁ、と。でも、此処はもともと「昔話」ばっかじゃねーかと開き直ってですね、もうプロレスも語ろーじゃないかと、あたくしにとってはアレも「空想音楽」だからね。
木村健悟みたいに歌が上手いプロレスラーもいるけれど、リングで歌う女子プロレスラーなんかも含めて「なんじゃこりゃ?」な方が多いもんでございます。猪木の「ファイト!」って掛け声が、今で云う「サンプリング」された「炎のファイター」(確かB面は、倍賞美津子が歌う日本語カヴァー!「いつも一緒に」)は、折角の名曲をたった其れだけで台無しにしていますが、何故か最近は猪木の入場時に流れています。余談ですが、藤田の入場にスローな「炎のファイター」を使うのは、もう止めて欲しいです。決して猪木のテーマを他のやつが使うのを良しとしないのでは在りません。あのヴァージョンがモノ哀し過ぎて「藤田が勝てそーにない」って気になっちゃうのがイヤなんです。
そんなプロレスラーのレコードの中で幻の名曲と云われるのが、前・新日プロ社長「ドラゴン藤波」が熱唱した「マッチョ・ドラゴン」です。藤波の入場テーマは、妙にチャンキーでとても此れから闘いに臨むには相応しく感じられない「ドラゴン・スープレックスのテーマ」が長く親しまれていたのですが、猪木超えを見据えた頃に新テーマに変えたのです。当然、現場ではインストが流れていたのだけど、どーゆー勘違いか本人が歌うヴァージョンがレコード化されたんですなぁ。「マッチョ・ドラゴン!燃え上がれ!」などと雄々しいコーラス入りで、妖しげな処でのニーズが在ったのかしら?などとも考えてしまいます。こんなもんを集めたCDも出ているよーなので、間違って聴いてしまったら「野良犬に噛まれた」とでも思って諦めて下さいね。
そー云えば、かつては「レスラー名言集」なんてレコードも出てました。「長州力・俺はお前の噛ませ犬じゃないんだ」とか、解説に書いてもらわないと聴いただけじゃよく分らない滑舌の悪い音声が沢山収録されていたのだけど、ふたつだけは良く分かりました。
「ラッシャー木村・こんばんは」「アントニオ猪木・ダー!」
初出「COPY CONTROL」 (小島藺子)